怪物はハコの中に

架空の劇団にまつわる創作に関するものです

物狂いのインターバル

「『ずっと、ひとりだった――』」
 違う。
 こんなの、彼らしくない。
 舞台上で“アデル”を演じる斎波正己を見て、城戸礼衛は観客席で息を呑んだ。
 斎波は、こんな演技をする男じゃあない。
 叫んでも怒鳴ってもいないのに、客席の最奥までよく響く声。重みを感じさせる一歩一歩の足運びに、否が応でも目を引く仕草。なるほどその動きは斎波特有の、城戸がよく知るそれそのものだ。しかし、違う。動作とか発声とか、そんな表面上のことだけでは説明できない“何か”が明確に違っていた。
(なんだ、何が変わった? いったい彼に、何が起きた?)
 たとえばそう、表情。真面目くさった鉄面皮である普段の彼とは違い、役者としての斎波は長い付き合いの城戸すら驚かせるほど表情豊かだ。……しかしそれはあくまでも演技、彼自身の現在の感情ではないはずなのだ。
(“真実味”がありすぎる)
 笑い、悩み、ときにはかっと頭に血を昇らせたり……そうした“アデル”の一挙手一投足は、奇妙な実感を伴っていた。脚本の流れに応じて発したものではなく、目の前の相手や自分を取り巻く状況によって心から生じたような。だからそれは、“アデル”の振る舞いでもあり、斎波自身の感情でもあるはずで。
(メソッド演技、とかそういう話じゃあないな。これは――)
 城戸自身、その“症状”に何度か陥ったことがあるからこそわかる。
 あれは、狂気だ。
 思い返せば、何度か徴候はあった。あの斎波が、良い子ぶりっ子優等生の斎波正己が『嫌いなもの』として真っ先に挙げるこの城戸に対して何度も電話をかけてきたのだ。今までたまに、引きこもり生活を送っている城戸の生存を確認する電話をかけてくることはあったが、ああして自分のことについてあれこれと相談するのはおよそ初めてである。
 自分を、見失っていたのだろう。
 普段の斎波を知る城戸にとって、冗談ですらそんなことはありえないと否定するような事態だ。思考も行動もすべて、自分が決めたルールに則って動かしている、いわばレールを自ら敷きながら走る機関車のような男だ。ルールにしろレールにしろ、それそのものが根本から壊れない限り、斎波が自失することはありえない。
(………………)
 原因の究明をしても仕方がない。ともあれ――彼は狂気に至ったのだ。
 かろうじて役柄という仮面で体裁を整えてはいるが、そんなものはいつ崩れるかわからない。彼我の“あわい”を失ってしまった今、自分が抱いている感情を制御することも、演じている役の行動と切り離すことも至難の業のはずなのだ。
 つまるところ、いつシナリオを無視して感情のままに暴れだしてもおかしくないのが、今の斎波の状態のはずなのだ。
「ああ……」
 背後から溜め息をつく声が聞こえてきた。感嘆のあまり、思わず漏らしてしまったのだろう。横目で左右の観客の様子を見る。どうやら誰も彼も斎波の異常には気づかずに、彼の異様な迫力に呑み込まれ、心奪われてしまっているようだった。
 確かに――城戸個人としては認めたくない、忌々しい事実であるのだが――アデルを演じている斎波は惚れ惚れするほど美しい。ご自慢の筋肉を何キロ落としたのか、華奢に見えるほど痩せ細った身体。彫りの深い顔に浮かぶ幼い表情のアンバランスさ。ただでさえ長身で目立つ彼だ、一度視線を向ければ目を逸らすのは容易ではない。彼の狂気は皮肉にも舞台を盛り上げる演出の一部となっていた。
 きっと、この舞台は大成功し、盛況を呼ぶのだろう。斎波や相手役の宍上の見た目の良さや演技力はもちろんのこと、楽曲や美術、衣装も大手が製作しているだけあってクオリティが高い。既にSNSでは好評な感想が多数アップされ、早くも再演やDVD化の要望まで見られはじめている。
 けれど、それは千秋楽までつつがなく公演を終えてから考えるべき話だ。
「『ああ、いったいどこから僕達は違ってしまったのだろう――』」
 舞台上ではアデルが“仕事”から戻ってきて、先に寝入ってしまったリュシアンの様子を窺っている。自分が心身を擦り切らせながら必死で金を稼いでいる中、リュシアンは何も知らずに安穏と眠っている――愛しく感じているはずの友に対して、理不尽な憎しみを抱いてしまったことを歌う場面のようだった。
「『最早戻れないのなら――リュシアン、どうか、僕を――』」
 アデルは足音を殺してベッドに近づき、まぶたを閉ざしたリュシアンに覆い被さる。痩せて筋張った手がリュシアンの頬に伸び――ゆっくりと首元へ下りていく。
(確か“原作”じゃあリュシアンにキスしたり、『迫る』場面のはずだけど……)
 手の甲の筋の動きで、そこに尋常でない力が込められているのがわかった。首筋に触れようとする衝動を、理性によって無理矢理押さえつけているような――
 ――ああ、彼を本気で殺してしまいたいのか。
 そう悟ったとき、城戸の背筋にぞくりと怖気が走った。

 

「『フラ泥』、見た?」
 公演を見終わった後、二年ぶりに志島塾同期の浮島に電話をかけた。
「い……いきなりなんですか? 見てないですけど……」
「は? 正気で言ってる? 本当に役に立たないなあ、このコウモリ野郎は……」
「なんで久々の会話でここまで酷い罵倒を聞かされないといけないんですか……?」
 浮島和見。年齢こそ城戸や斎波の一つ上だが、同期生として志島塾で教えを乞うていた彼らに年功序列はない。むしろ、気弱で優柔不断な浮島を城戸が虐め、斎波が叱りつけるような間柄だった。
 浮島とはブルートループの新代表就任以来一度も顔を合わせていないが、この話しぶりを見るに昔とまったく変わっていないようだった。呆れと同じくらいにほっと安心感を覚えたが、それを素直に口にするような城戸ではない。
「二年経ってちょっとは成長したかと思ったら、相変わらずハサミよりも使えない奴だな。幻滅させてくれることに関しては人並み以上の才能だよね。いっそ安心したよ」
「電話を切っても良いって意味なんですよね? 切りますよ?」
 まるで怯えているような口振りだが、このようなやりとりは浮島にとっても日常茶飯事だ。なんだかんだと文句を言いつつも通話が切れず続いているのがその証拠である。
「斎波君の主演舞台だぜ? なんで観ないんだよ」
「気づいたときにはチケットが取れなくなってたんですよ。僕だって自分の舞台の稽古がありますし……偉そうに言ってる礼衛くんだって、僕の舞台は観てくれないじゃないですか」
「いやいや、ちゃんと毎回観てやってるぜ? こないだの、なんだっけ? 『ハムレットによろしく』だったっけ? 面白かったよ」
「『オセローのいない夜』ですよ……絶対観てないじゃないですか」
「なんで君みたいな半端野郎の芝居なんか観に行かなきゃいけないんだよ。思い上がるな」
「せめて最後まで取り繕ってくださいよ……!」
 久々の会話でついつい馴れ合いが盛り上がってしまったが、本題に戻る。
「今日観てきたのさ、その『フラ泥』をね。評判良いし、噂くらいは聞いてるだろ?」
「宍上紅蓮が出てるんですよね? 凄くバズってるみたいですけど、面白いんですか?」
「いかにも女の子ウケ狙ったお耽美って感じさ。主演やらされた斎波君はご愁傷様だね」
 まあ、内容はこの際どうでもいい。
「君んとこ……『マヨヒガ』に元キミドリプロの人って何人かいたよね。宍上紅蓮の話、何か聞いてない?」
 やはりあの男、リュシアン役を演じていた宍上がきな臭いのだ。
 噂に聞く限り『フラ泥』は宍上加入を前提として企画されていたようだし、フラ泥の稽古が始まった頃から斎波の様子がおかしくなった。斎波の異変に宍上が関わっていると考えるのははたして短絡的だろうか?
「ううん……そりゃあ悪口の三つや四つは聞きましたけど……でも、あんまり信用できないですよ? 人のことをとやかく言う人って大体礼衛くん並みに性格悪いですから」
「そういうこと言ってる時点で君も同レベルなんだよ。……信憑性は低くてもいいや。どんな話があるんだい?」
「ええと……性格が悪いだとか、女たらしだとか……仕事を“枕”で取ってるとかはよく聞きましたね」
「枕ねえ。まさかおっさん相手に?」
 そういう話は古今東西聞くが、伝聞を鵜呑みにしていいものか。
「だから、あんまり信用しないでくださいって。あとは、そうだな……だいぶ下品な話なんですけど、さ、“さげナントカ”とか言われてましたね」
「……あー、付き合った女が破滅しがちってこと?」
「宍上くんと付き合った女の子はみんな大成しない……みたいなジンクスがあるらしくて。ほ、本当のところは知らないですよ?」
「芸能界なんて大成しないほうが大半だろうからね。下手に顔を知られずに辞めれるならそっちのが案外幸せかも。……それで? 他にはないの?」
「こんなところですね……。女性関係の悪い話はいっぱい出てきますけど、逆に言えばそれ以外のスキャンダルは全然ないみたいです」
 芸能界での交際関係は良くも悪くも話が大きくなりがちだ。アイドルと俳優が熱愛だの、どこぞの芸人が二股だの……注目度が大きいニュースになるからこそ、別のスキャンダルから目を逸らさせるためのスケープゴートとして使われることも多々ある。宍上の話題に女性関係がいやに多いのも、何かのカモフラージュということはないだろうか。
「さっきの話みたいな、周りが不幸になるとかそういう話は?」
「えっ、そんな疫病神じゃないんですから……ううん、全然関係ないかもですけど」
「なんでもいいよ。宍上の悪口が聞ければそれで」
「相変わらず不思議なくらい性格が悪いですね? えっと、だいぶ古い話題なんですけど、十年くらい前かな? 当時子役やってた宍上くんのマネージャーが、何かで逮捕されたって話です。事務所が圧力かけたらしくて、詳しい話は出回ってないんですけど」
「逮捕。そりゃ物騒だ。罪状はなんだい? 殺人? 強盗?」
「礼衛くんの発想のほうが物騒ですよ……? なんだったかな、刃物を振り回したらしいから、銃刀法違反か傷害罪じゃないですか?」
 どこかで聞いたような話だった。まあ、頭をおかしくさせた者が刃物を持ち出すなんてそれこそ慣用句になるくらいありふれた話か。
「ありかとう。参考にさせてもらうよ」
「はい。……あの、礼衛くん?」
「うん、なんだい?」
 これ以上の情報は得られないだろう、と話を切り上げようとすると、今度は浮島のほうから何やら切り出してきた。
「あれから、随分経ちましたけど……まだ、仕事には復帰してないんですか?」
「――ああ、そうだよ。現在進行形で休業中さ」
 答える声が低くなってしまったことを悟られただろうか? 二年前にブルートループを退団した浮島は、城戸がつい最近までどのような状態だったか知らないのだ。どうやら地雷を踏んでしまったらしいと気がついた浮島は慌てたように弁明する。
「も、もちろん礼衛くんが大変なのはわかってますよ? そんなに簡単に元通りになれるような問題じゃないってことも……だけど、やっぱり礼衛くんは劇団に戻ったほうがいいと思うんです」
「へえ。偉そうに人の進退について語れるってことは、万人が納得する立派なご高説を垂れてくれるんだろうね? この僕も感心させて、君宛てに素敵なプレゼントを贈る計画を立てる必要もなくなるような?」
「ひっ!? い、いや、でもですね……」
 脅しつければすぐに黙るかと思ったが、意外にも浮島は食い下がって話を続けた。
「だって、礼衛くんはブルートループが好きなんでしょう? 宍上くんのことをあれこれ探ってるのも、正己くんが心配だからですよね? だったら――自分の目で確かめて、自分の手でなんとかしたほうがいいんじゃないですか?」
 普段なら生意気だと切って捨てるような言葉に対し、なぜだかそのときは反論の言葉を思いつくことができなかった。

 

 実際、あれやこれやと宍上の裏を嗅ぎ回るより、斎波本人に直接聞いたほうが早いに決まっている。
 夜公演が終わり、斎波が帰宅しただろう時間を見計らって電話をかけてみた。
「……風呂かな」
 二コール、三コール。公演中の役者は多忙だ、すぐに出るとは思っていなかったが。七回目のコールが鳴ったら電話を切ろう、と六回日のコール音を聞いている最中に電話が繋がった。
「もしもし?」
「……君か。どうした、明日雪か槍が降るのを教えてくれるのか」
 斎波らしくない、皮肉な言い回しだった。
「今日のマチネ、見たよ。良かった。予想以上の仕上がりだったよ」
「――ああ、ありがとう」
 舞台で声を張ったせいで枯れてしまったのか、異様に抑揚のない声音――声を枯らす? あの斎波が? ありえない。違和感は強まる一方だった。
「君が美少年だなんて、最初に聞いたときはへそで茶を沸かしたもんだけど――なかなか上手いことやったじゃないか。サラダチキンを食べるのはもうやめたのかい?」
「………………」
 深い嘆息。まるで、観念したかのような。
「一目でわかるほど、おかしかったか」
「ああ。変化と成長なんてやつじゃなく、明らかエラってバグってる感じさ。……なあ、何かあった? どうしちゃったんだよ、君」
 のらりくらりとした態度に苛立ち、率直に疑問をぶつける。しかし、返ってきたのはまたもや溜め息だった。
「……斎波君?」
「城戸君。俺は、もう駄目だ」
 溜め息とともに吐き出すように、そんなことを言った。
「千秋楽まで保つかどうかもわからない。ひょっとすると、明日にでも限界を迎えてしまうかもしれない。いずれ俺は、この舞台を――いや、ブルートループを滅茶苦茶にしてしまうだろう」
 淡々と、一人言のように、話し続ける。予想外の反応に、空恐ろしい言葉。面食らい言葉を失った城戸に対し、斎波はさらに言った。
「いや、違うな。俺は自分の意思で、ブルートループを壊そうと思っている」
「……本気、なのか」
 やっとのことで、それだけ言った。聞くまでもないことで、舞台上の彼を見た時点である程度予測できていたことだった。
 けれど――違うだろう。城戸の知る斎波が、どうしてそんなことを言うのか。
 狂気は、そこまで彼を追い詰めてしまったのか。
「君の知る石頭で人間ゴリラの筋肉ブルドーザーは、冗談でそんなことを言うような人間だったか?」
「ゴリラだって嘘くらいはつけるだろ。頭がいかれちまってたら尚更」
「ははっ」
 と、そのとき初めて斎波が笑った。『笑うべきだったから笑った』――『笑う必要があるから内心とは関係なく笑った』。かつては不気味で仕方なかった彼の反射行動に、このときだけは安心感を覚えた。
「いいよ。好きにすりゃあいいさ。そうしないとのっぴきならなくなっちまったんだろ? 僕はこの通り、高みの見物決めこませてもらうから」
 どうあれ、彼の心が決まっているのなら言うことはない。やぶれかぶれでも、狂気の沙汰であろうと、それが斎波自身の意思であるのなら、城戸はそれを笑いながら眺めるだけだ。これがもし、迷いや葛藤の最中であるなら罵りながら頬を引っ叩いてやるところだが。
 狂気の淵に追いやられた者は、他者からの助けの手をつかむことはできない。今もなお狂気から抜け出せない城戸はそれをよく知っている。
(多分、こいつをここまで追い込んだのは宍上紅蓮なんだろうけど)
 この段になって原因にアプローチするのは無意味だろう。たとえ今すぐ宍上の家に乗り込んで件の彼を殺してみせたところで、今さら斎波が正気に戻れるわけはない。当人が腹を決めているのなら、やりたいようにやり、暴れたいだけ暴れてしまえばいいと、善人でも正義の味方でもない城戸は考える。
(最高じゃないか。あのクソ真面目クンが怪獣みたいに大暴れするなんて。見れるもんなら特等席でかぶりついてやりたいね!)
 そんな城戸の内心を知ってか知らずか、斎波は「ああ、そうだな」と頷き、続けた。
「そこで、一つ頼みたいことがあるんだが」
「え、なに?」
「もしも俺が失敗して、ブルートループが無事に残っていたら、プルートループに戻ってきてくれないか?」
 あまりに意表をついた頼みに、城戸は再び呆気にとられた。
「喜ばしいことに、最近新人か沢山入ってきたんだが、反面教え手が不足していてな。枯木さんと葉原さんが頑張ってはいるんだが……いかんせん、生徒が多すぎる」
「なんだそれ。僕によちよち歩きの赤ちゃんみたいな連中の保父さんをやれって?」
「不服か」
「舐めてるの?」
 はは、と斎波はもう一度笑い声を出した。
「認めるのは悔しいが、俺が知る中では君が一番教えるのが上手かったからな。性格の悪さも一番だったが」
「そんな僕か素直に頼まれてくれると本気で思ってんの?」
「それもそうだ。じゃあ、頼み方を変えてみよう」
 そう言って一拍おいたのち、斎波はとびきり演技がかった声で言った。
「僕の代わりに、プルートループを滅茶苦茶にぶっ壊してくれないか」
 長年の腐れ縁からの提案は、即答を迷わせる程度には魅力的なものだった。

 

「新人、ねえ?」
 用が済んだスマートフォンをテーブルに置き、ベッドに身を横たえる。
 気づけばすっかり夜も更け、夕食後の薬を飲み忘れたことに気づく。怠薬は増悪へのショートカットだ。かったるさを堪えて起き上がり、ミネラルウォーターと薬を取りに行く。
(――ああ、あいつがいたな)
 『フラ泥』に出演していた役者の中に、見知った顔がいたのを思い出した。
 真鉄静。
 最後に会ったのは五、六年も前になるか。あの頃相手はまだ小学生で、だから最初は別人と見間違えたのかと思ったが、パンフレットのキャスト欄にもしっかり名前が載っていた。
 何より、あの眼差し。世界のすべてを敵に回そうとするような、ありとあらゆるものを拒絶しているような。まるで我を隠せていないにもかかわらず、役を演じきれていたのは奇跡だろう。あるいは、そのパーソナリティを見越してそれが合う役に抜擢されたのか。
「才能なんかないのに、まだ諦めてなかったのか」
 とっくに別の道を歩んでいるだろうと思っていた。しかし――往生際悪く、未だあがいていたなんて。舌の奥に放りこんだ薬を水で押し流す。嚥下を終えた城戸の口元にはうすら笑みが浮かんでいた。
「指導なんてガラじゃあないけど……身の程知らずちゃん達に“現実”を見せてやれるってなら、なかなか楽しそうじゃん?」
 それから数週間後、斎波は『例の事件』を起こす。そしてまたその数週間後、城戸は休業から復帰し新人の指導役を受け持つことになる。
 狂気から脱したようと思われた城戸だったが、しかし再び狂気に蝕まれ惨事を引き起こすことになるのは、また別の話である。